2026年1月21日(水)第17回「Borderless Onsite Meeting」が開催され、NipCAフェロー2025のウラン・エミールさんが「Sacred Numbers of Kyrgyzstan’s Nomadic Civilization(キルギス遊牧文化の神聖な数字)」という題で発表を行いました。

キルギス共和国は中央アジアに位置し、その壮大な山岳風景から「中央アジアのスイス」と称されています。そしてこの美しい国には象徴的な意味を持つ数字が数多く存在し、数字にまつわる豊かな遊牧文化が今も残っています。現代のキルギス共和国はソビエト連邦の崩壊後の1991年に成立しましたが、キルギス民族に関する初期の記録は、紀元前201年の古代中国の記録にも見られます。 記録によると、特定の数字が人間の生活・社会的関係・自然の秩序を長い間構成してきていると記されています。

数字は出生の瞬間から、一生における重要な儀礼において重要な役割を果たしています。生後40日目に行われる最も初期の儀式の一つがベシク・トイ(Beshik Toi)です。この祝宴では、赤ん坊が伝統的なゆりかご(ベシク)に置かれ、親族は初めて赤ん坊と公式に顔を合わせます。そして、コルンドゥク(korunduk)といわれる、健康と強さを願うギフトを贈ります。その後、子どもが初めて歩く際に祝われるトゥシュー・トイ(Tushoo Toi)という儀式では、羊毛で作った縄が子どもの脚に結ばれ、儀式の最中に切られます。これは自由、自信ある歩行、そして子どもが人生の新しい段階に入ることの成功を象徴しています。また、男児にとってもう一つの重要な節目がスンノト・トイ(Sunnot Toi)というもので、通常は3歳、5歳、または7歳で行われる割礼の儀式です。キルギスの人口の大部分がイスラム教徒であるため、割礼はすべての男児にとって神聖な義務と見なされています。

すべての神聖な数字の中で、【七】は特別な重要性を持ちます。それは口承の系譜伝承であるサンジュラ(sanjyra)や、すべてのキルギス人が父方の先祖七代の名前を知るというジェティ・アタ(jeti ata)と密接に結びついています。 この慣習は、近親婚を防ぐだけでなく、キルギスのアイデンティティを思い起こさせる役割も果たしています。 さらに、キルギス共和国自体が七つの地方に分かれていることもあり、数字の象徴的な力は地理的にも反映されています。

また、【十二】も重要な数字で、ムチョル・ジュル(muchol jyl)と呼ばれる『12年の生活サイクル』に関連しています。人生における12年毎の年には、困難が起こる移行期と見なされており、これらの年には人々は不運や困難から身を守るために赤い服を着たり赤い小物を携帯したりすることがあります。

またエミールさんは、キルギス文化で最も神聖な数字は【四十】であると強調しました。これは英雄マナスがキルギスの40人の勇士「キルク・チョロ(Kyrk Choro)」と共に、40の部族を団結させたとして、キルギスの叙事詩『マナス』に記されているのが基になっています。 40という数は葬儀の儀式にも現れており、人が死ぬと親族は40日目(キルキ(kyrky))に集まり、死者の魂が安らぎを得られるように祈りを捧げます。

キルギスの遊牧文化は、これらの神聖な数字を通して人生における集合的・歴史的・そして精神的連続性を結びつけ、世代を超えて文化的アイデンティティを保存しています。