NipCAプロジェクトでは活動の一環として、「中央ユーラシアと日本の未来」と題する公開講演会をシリーズで実施しています。
2020年7月30日(木)、第11回目となる講演会では、筑波大学医学医療系の教授、市川政雄氏を講師にお招きして、「モンゴルの子どもを熱傷事故から守る生活環境改善プロジェクト」と題した講演会を開催し
ました。蔓延するコロナ禍の影響で今年度はZoomによる講演会の開催になりましたが、当日は本学の学生や教職員だけでなく、一般の方も含む50名近くの方が市川先生の講演を聴講しました。
今回は10代の頃から開発問題に関心を持ち、安全で健康な生活を送るための政策効果検証をされている市川先生ならではの視点で、子供の重度熱傷問題を抱えるモンゴル実例とその予防のためのプロジェクトついて紹介していただきました。
モンゴルでは近年熱傷事故による子供の死亡率が急増し、その深刻さは世界でもトップクラスであるにも関わらず、原因も対策も不明だったそうです。
本講演会ではそのような状況下で市川先生が実際に携わった重度熱傷事故防止のための基礎調査、原因分析、対策の考案及び、試作品の企画・製作に至ったプロセスと、その課題についてお話ししてくださいました。
基礎調査からは、近年普及した電気調理器具による重度熱傷が明らかになり、対策として子供たちが調理器具と接触しないような家具を開発、普及させることで事故を減らすことができるという、先生の熱い想いが伝わる講演でした。
一方、普及のための資金調達と持続性の担保という課題についても言及され、開発プロジェクトの難しさについて考えさせられました。講演後の質疑応答では、なんとかプロジェクトの課題解決の助けにならないかという、聴講者からのアイディアや提言のようなコメントも多くみられました。
この講演会の模様は8月19日~8月31日までmanabaにて動画配信されました。