木村先生は、言語社会学を中心に幅広いご研究をされており、近年では、『節英のすすめ:脱英語依存こそ国際化・グローバル化対応のカギ』(萬書房、2016年)や『多言語主義社会に向けて』(くろしお出版、2017年)といったご著書において、言語の多様性をめぐって斬新な論考を発表されています。

2021年3月12日(金)、公開講演会シリーズ「中央ユーラシアと日本の未来」の第22回として、上智大学外国語学部ドイツ語学科教授の木村護郎クリストフ先生をお迎えし、「『やさしい言語』はだれのため?-ドイツのLeichte Sprache(やさしいことば)から考える」と題する講演をしていただきました。

今回のご講演では、「やさしい日本語」と、Leichte Spracheすなわち「やさしいドイツ語」との比較に重点が置いて進められました。「やさしい日本語」は主として、自然災害や感染症による異常事態の際に、情報を的確に得ることが難しくなりがちな在日外国人に向けたものとして使用されることが多くなっています。これに対し、「やさしいドイツ語」は学習困難者や認知症患者など、主に言語的に社会的な困難を抱えさせられている人に対してのものであるという大きな違いがあります。加えて、「やさしいドイツ語」は、学習障がい者の人権主張運動の流れを汲んでもいます。木村先生は、学習障がい者も自分で適切な情報を得ることができるという権利が保障されており、学習障がい者自身で「やさしいドイツ語」を点検するという雇用創出にもつながっているということにも触れられいました。木村先生はご講演中も聴講者からチャットにあげられた質問を発表に織り込みながら進行され、聴講者にとってたいへん実り多い会となりました。

 

この講演会の模様は令和3年3月17日~令和3年3月28日までmanabaにて動画配信されました。