アブドゥラエフ・ショフルフ
7月12日(金)の午前中は、北海道ニセコ高等学校を訪問しました。近代的で多様な文化が混在するこの高校は、私たちを温かく迎えてくれました。訪問は、日本の学生らしい方法で始まりました。建物に入った後、私たちは入り口で靴を脱ぎ、まっすぐ本堂に向かいました。そこでは、すでに4〜5人の学生の3つのグループが私たちを待っていました。
国際交流コーディネーター(ALT、SEA、CIRの各カテゴリーに分かれている)が準備してくれていたプレゼンテーションは、ニセコ町についてほとんど知らなかった私たちにとって、とても有益で興味深く、考えさせられるものでした。講義と学生とのディスカッションの中で、町の歴史、マスコット、シンボル、44カ国の多国籍人口(季節によって常に変動する)、ニセコの観光開発の是非など、町に関する一般的な情報を学びました。例えば、ニセコ町ではカボチャなどの農産物が有名で、ラフティング、温泉、ダチョウ牧場、高橋農園、有島記念館など、観光アクティビティや名所も数多くあります。したがって、この町の主要産業が農業と観光業/接客業であることは驚くことではありません。残念ながら、これらの産業はメリットばかりでなく、環境的、社会的、経済的な課題という形でデメリットも抱えています。例えば、過剰な観光客は地元住民に問題を起こし迷惑をかけるし、新しい建設現場やインフラの拡張には木々の伐採が必要となり、環境に悪影響を与えます。
これらの問題に光を当て、より多くの注目を集めるために、詩人の有島武郎は、環境の保護、ルールの遵守、健康で働きがいのある家族の構築、地元の子供たちの明るく安全な未来の確保を目的とした「ニセコ憲章」を作成しました。
ニセコ憲章を現実のものにするために、町民は環境や社会問題に焦点を当てた様々なプロジェクトや取り組みを打ち出してきました。例えば、ニセコ町では2001年に「町づくり基本条例」が制定されました。これは日本初の自治基本法であり、「町の憲法」とも呼ばれています。さらにニセコはこのほど、SDGs達成に向けた取り組みや提言を行う自治体として、日本の「SDGs未来都市」に選定されました。同町は「住民参加と情報共有による自治の実践」「環境モデル都市への取り組み」「独自の開発ルール作り」などの地域づくりを実践し、取り組んできました。また、SDGs未来都市の選定に際し、ニセコ町は「自治体SDGsモデル事業」にも選定され、国の支援を受けて「NISEKO暮らし・モデル地区構築プロジェクト」を提案しました。
町はまた、2050年までの排出量ゼロ、気候変動対策、水資源保護、財政支援、持続可能な開発など、いくつかのプロジェクトを推進しています。新しい建設プロジェクトでさえ、町の担当者と厳密に協議する必要があり、それは地元の人々の、自分たちが住む場所に対する献身と忠誠心を示すものであります。こうした取り組みはすでに実を結び、ニセコ町は地球温暖化対策が評価され、政府から「UNWTOベスト・ツーリズム・ヴィレッジ2021」や「環境モデル都市」に認定されました。
ニセコ高校での講義は非常に興味深く、刺激的でした。なぜなら、人々が大きなモチベーションと献身を持って重要なアイデアの周りに集まれば、多くの驚くべき成果を達成できることを私たちは確信できたからです。様々バックグラウンドを持ちながら、全員が同じ目標に向かって努力しているという事実は、人と人との協力、コミュニケーション、相乗効果の重要性を示しています。ニセコ町の取り組みは、日本の他の町や都市だけでなく、世界中の人々にとって模範になると思います。子供たちの明るい未来のための善意と努力に国境はなく、すべての人々にとって普遍的な価値観だからです。