2025年3月18日(火)、第12回Borderless Onsite Meetingを国際局グローバル・コモンズとの共催で開催しました。
今回は、エストニア共和国出身の日本語・日本文化学類特別聴講生であるポッル・ミーア・ミカエラさんに“Estonia: Where Medieval Charm Meets Digital Innovation”と題するテーマでお話しいただきました。
エストニアは、ラトビアやリトアニアを含むバルト三国の中で最も北に位置し、東はロシア、南はラトビア、北はフィンランド湾に面しています。首都タリンは中世ハンザ都市として栄えた港湾都市で、旧市街は世界文化遺産に指定されている美しい街です。一方、IT立国化を国策として進めており、全体のオンライン化が進んでいます。中世の魅力を残しながら電子化とどのように融合しているかについて発表いただきました。
初めにエストニアの情報として、民族構成比率はエストニア人68%に対しロシア人が22%いること、年齢比率は30~40代が一番多いこと、1991年にソビエト連邦から独立したことなどを紹介いただきました。
ユネスコの無形文化遺産に登録されている「歌と踊りの祭典」も紹介してくれました。この祭典は、5年に一度タリンで開催されエストニアの民族音楽をエストニア語で合唱、国民の機運を高め祖国を独立へと導いた祭典で、独立の自由を勝ち取った人々の歓びと愛国心を表現しているとのことです。
また、1997年にユネスコの世界文化遺産に登録されたタリンの旧市街は、その美しい保存状態と豊かな歴史的背景で知られ、中世ヨーロッパの都市景観を今に伝えていて魔女の宅急便の舞台になったこと、また国土の50%をカバーする森や、ユネスコの無形文化遺産に登録された「ヴォル地方のスモークサウナの伝統」、食事についても紹介してくれました。
最後にこのような歴史や文化を持つエストニアのデジタル国家化についてプレゼンがありました。オンライン投票を実施したのも世界初で、政府のサービスは100%デジタル化され、SKYPE発祥の国とのことでした。「e-Residency」というシステムでは、パスポートとクレジットカードがあれば、1万円程度の手数料を支払うことで、国籍や居住地に関係なく誰でもエストニアの「電子住民」になれるそうです。
エストニアについては報道などで耳にする機会が増えましたが、どのような国であるか知る機会はあまりありませんでした。今回のプレゼンテーションで街並みや自然を大切に保存し、伝統的な文化を継承、保存しながら、国家としてデジタル化の最先端にあることを知ることができました。