2020年12月18日(金)、第18回公開講演会シリーズ「中央ユーラシアと日本の未来」を開催しました。今回は東京福祉大学の特任教授である近藤高史氏を講師にお招きし、「水と環境問題―パキスタンを例に-」と題する講演をしていただきました。
今回の講演会も学外からの参加者も多く、約50名の方が講演会を聴講しました。近藤先生はパキスタンの日本総領事館で専門調査員として現地に滞在されていたご経験をきっかけに、現在ではパキスタンの現代史を中心にご研究をされています。パキスタンの政治問題や社会問題、特に「水」の問題について着目されていて、今回は島根県立大学の「アジアの環境プロジェクト」に参加され、このプロジェクトから刊行された著書「現代アジアと環境問題」より、パキスタンの環境問題についてお話ししていただきました。
「水」の問題はSDGsゴール6「Ensure access to water and sanitation for all(すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する)」に掲げられている目標でもあり、なかなか一国だけでは解決が難しい課題であることがよく議論されています。近藤先生のお話から単純に水問題と言っても水資源の確保の問題、水質汚染の問題などその解決のためにはさらなる社会問題に対峙しなければならないということがよくわかりました。パキスタンのケースでは「川」という水資源を緊張関係のあるインドと共有しているだけでなく、その川の下流に位置している国であるという現実にどう取り組んでいるのか、また水質汚染の元凶であるゴミや上下水道問題の解決の難しさなどを開設してくださいました。同国の水問題はまさに重層的な要因が重なっており、発展途上国の典型的なジレンマの縮図をみたような気がしました。
この講演会の模様は令和2年12月21日~令和3年1月3日までmanabaにて動画配信されました。