2020年2月25日に公開講演会シリーズ「中央ユーラシアと日本の未来」の第10回としてユーラシア国立大学の代表団による「カザフスタンの大学と日本の大学の科学統合」ロシア語による公開講演会が筑波大学中央図書館で行われました。

歴史学部の学部長であるトレゲン・サディコフ教授はカザフスタンの大学の国際的大学協力戦略を、ユーラシア国立大学を例に紹介しました。サディコフ教授は、ユーラシア国立大学にとって日本の大学との協力構築、強化は一つの重要情事項だと強調しました。実際、ユーラシア国立大学は筑波大学と通常の交換留学を行っています。

2019年、主要なイベントの一つとなったのが、カザフスタン初代大統領のナザルバエフ氏が来日し、筑波大学にて名誉学位を授与されたことです。その会には筑波大学で学んでいるユーラシア国立大学の学生たちも出席しました。また多くの日本の先生方もユーラシア国立大学を訪れ、様々な分野の講義をしました。サディコフ教授は筑波大学の学群とも同様の協力計画を作りたいとの希望を語られました。

サディコフ教授の後、ユーラシア国立大学考古学・民俗学部の学部長であるウラン・ウミトカリエフ氏による、「ユーラシア・ステップの考古学」の講演がありました。講演はカザフスタンの古代の歴史と、現代カザフスタンの地域での探検(ウミトカリエフ教授が行ったものも含む)で見つかった様々な物についてでした。ウミトカリエフ教授はカザフスタンの歴史は冶金と馬の飼育と密接な関係があると述べました。歴史的証拠によると、カザフスタンの人々は銅器時代より馬を飼育していたそうです。青銅器時代は銅の露天掘りとスズ鉱業であり、青銅器時代後期には燃料生産が始まったそうです。鉄器時代初期では土地や家畜を巡った戦争が多く、その後はフンノ・サーマシャン時代、テュルク時代へと続きました。

ウミトカリエフ教授は考古学的発見の様々な写真を見せてくれました。その中でカザフスタンの歴史において最も重要なものの一つに、「ゴールデン・マン」と呼ばれるものがありました。これはサカ民族の古代戦士の豪華な祭服です。今のところ8つの「ゴールデン・マン」が見つかっています。小さな金の宝石も、生産に高度な技術を要することから、貴重な発見です。また、ベレル・クルガンで見つかった13体の完全保存された馬の生贄も興味深い発見です。馬は全て赤で、太陽と炎を象徴しています。赤い馬は人間の精神を別世界へと連れていくことができると信じられていました。このことは、古代の人々が死後の世界を信じていた証拠になります。別の謎は、開頭された痕のある死体です。これが生前に行われたのか、死後に行われたのか未だにわかっていません。ウミトカリエフ教授は自身の発掘で発見されたものの一部を研究所で調べるため、筑波大学に持参されていました。

お二人の講演後は、質疑応答の時間となりました。死体のことやカザフスタンの伝統的な飲み物である「クミス」やカザフスタンの大学の単位の仕組みなどについてでした。

最後の部として、サディコフ教授は日本の学者や学生たちをカザフスタンの歴史勉強のためにユーラシア国立大学へと招待しました。教授はカザフスタンと日本の大学の協力が将来も続くようにとの希望を語りながら、ユーラシア国立大学とカザフスタンのロゴが入ったお土産を配布されました。筑波大学臼山利信教授は、お二人の教授の素晴らしい講義に感謝し、ユーラシア国立大学と筑波大学の実りある協力関係が続くことへの願いを述べられました。