2021年3月17日(水)、公開講演会シリーズ「中央ユーラシアと日本の未来」の第23回講演会として、東京外国語大学講師の小川暁道先生をお迎えし、「変貌する現代ウクライナにおける言語・文化と社会」と題する講演をしていただきました。

小川先生は、東京外国語大学の学部・大学院を卒業・修了後、東京外国語大学でウクライナ語を担当されているほか、明治学院大学や外務省研修所などで、ロシア語・ウクライナ語の両言語を教えられています。

講演では、ウクライナの国名や首都キエフの名の由来など、ウクライナの基本的な情報に始まり、古代から17世紀にかけてのロシア・ウクライナの現在の関係を語る上で欠かせない歴史的な事実、そして、実はその関係が如実に反映されている現代エンターテインメントショーに至るまで、多彩な話題が繰り出されました。

ロシア・ウクライナの関係を語る際、ウクライナはロシアと似たような文化を持っていると思っている人も多く、実際に似通った部分も多くありますが、今回の講演では、文字や正書法の違い、地名や歴史的人物の発音の違い、そして、スラヴ世界を語る上で欠かせない「ルーシ」という語のとらえ方など、さまざまな面から対比しつつ、平明な言葉で両国関係史が語られました。ヨーロッパ全土においても一大イベントであるユーロヴィジョンソングコンテストから現代のクリミア問題を覗き見るという、大変ユニークなお話もあり、聴講者からはウクライナにおける教育や文字、エンターテインメントに関して質問がなされ、様々な視点からウクライナに親しむことのできる講演会となりました。