スヴァノヴァ・ユルヅズホーン

 

 

空港を出発してすぐに、島の美しい風景や街並み、南国の植物や丘などの自然、そして非常にユニークな街並みを紹介されながら、石垣市役所へ向かいました。市役所に到着し、遠くから庁舎を眺めると、道中に見た他の建物と区別がつきませんでした。しかし、建物に近づいてみると、その真の素晴らしさがわかりました。使用するものすべてが特定の機能的役割を果たす持続可能な現代建築と、沖縄の伝統建築の両方の特徴を併せ持つ建築物だったのです。

 

2017年に著名な建築家・隈研吾氏によって設計された石垣市役所は、行政の中心であると同時に、人気の観光地でもあります。

建物の最大の特徴は正面玄関にあります。暑い夏の日中の温度調整のために、屋根が重なり合う複雑なデザインになっており、柱は暗い背景で作られ、垂直な木のタイルや沖縄の赤瓦を使った伝統的な構造の屋根となっています。この構造は雨水利用技術も兼ねています。

 

市役所では、建物の紹介や、建物の設計の各段階で持続可能性がどのように考慮されているかなど、興味深い事実をたくさん学ことができました。また、市役所の国際関係支援のスペシャリストであるマシュー・トッピングさんにもお会いしました。「ミンサー」についてや、島のいたるところで目にする「5と4」の模様の象徴的な意味についてご紹介いただきました。さらに、地元の言語や文化を守るための取り組みや、八重山語の実態などについても教えていただきました。

 

私たちは、「石垣」という言葉が石垣を意味することに気づかされました。市役所入口の巨大な石垣に市役所の表札が掲示されていることについて、その関連性を尋ねると、石垣は島のいたるところにあり、文化的・歴史的に特別な意味を持っていることが分かりました。石垣は、石や珊瑚などの自然素材を厳選して配置され、自然災害や攻撃などの脅威に耐えうるような強靭な構造になっています。住民は、石垣があれば空き巣を防ぐために鍵や強い扉を不要と考えるほどです。

市役所内部の構造も同様に印象的です。市役所内は、自然光と温かみのある「木」の建築が随所に施され、開放的で居心地の良い空間として設計されています。特に中央ホールは、高い天井と、島の自然美・文化遺産を反映した温かみのある木のデザインが印象的でした。建物全体に木材を使用することで、温かみと居心地の良さを感じさせ、洗練された外観とのコントラストを演出しています。

石垣市役所の内部は、木製のデザインで機能性と美しさを兼ね備えています。職員や訪問者に温かみのある環境を提供するとともに、島の自然の美しさが表れています。建材として使用されている木材は、島の豊かな自然資源の証であり、持続可能性と環境管理の重要性を示しています。石垣市役所の内装の木造デザインは、島のユニークな文化遺産と自然の美しさを表現するのに適した美しいものであると考えます。

 

さらに内部には、前述のミンサー布や壁画など、多くのアート作品が展示されていました。石垣市役所の内部で最も目を見張るデザイン要素のひとつが、石垣島ガラスパネルです。このパネルは何百枚もの小さなガラスタイルで構成されており、その鮮やかな色彩、複雑なデザイン、そして高度な職人技術により創られているものとして知られています。このタイルは、島の自然の美しさと文化遺産を反映したユニークなデザインで、一つ一つが手描きで創られています。タイルはモザイク状に、波をイメージして配置されていました。ガラスタイルの青色は石垣島を囲む深い青色の海を、波のような模様は石垣島と海とのつながりや周囲の海景の自然美を象徴しているということです

もう一つの大きな特徴は、耐震システムです。コンクリートの柱状ブレースが、建物の強度を高め、地震発生時の建物の動きや変形を抑えることで、地震が建物に与える影響を軽減するのに役立っています。

石垣市役所庁舎は、まさに現代建築の集大成であると言えます。伝統的要素と現代的要素を融合させたデザインは、印象的で居心地の良い建物を作り出しています。伝統と現代の融合、持続可能性への取り組み、心地よく開放的な空間を重視したこの建物は、島の宝であり、私たちの旅のハイライトであることに間違いありません。