研修報告書
人間総合科学学術院人間総合科学研究群2年 山形澄香
研修参加の動機
学部時代に「留学したい」という願望を抱いていましたが、4年間のうち3年間がコロナ禍だったため、その願望は叶うことはありませんでした。しかし、修士課程に進み、この願望をずっと抱いていた中で、カザフ語語学研修のポスターを見つけ、学生生活最後であるし応募してみようと思ったことが最初のきっかけでした。筑波大学の魅力的な海外留学プログラムへの参加を通して、良い息抜きなるのでは、自分自身を見つめ直す良い機会になるのではという軽い気持ちで参加しました。
私は今回、カザフ語語学研修に参加しましたが、研修事前オリエンテーションには他にキルギス研修にも参加される方がいて、他の皆さんはロシア語圏の文化に興味があるなど参加動機がきちんとしており、私はこんな少し興味がある気持ちで参加して良いのか正直不安でした。しかし、今まで経験してきたことがいつか将来何かに結びついていることから、不安と期待を抱きながらカザフスタンに向かいました。
研修前後で成長した点
研修前は、カザフ語は話せないどころか字も読めない状態で、授業についていけるかどうか、中央アジアという今まで行ったことのない土地で語学を学びながらホームステイ先の人々や現地の人々と上手くやっていけるのか、治安や感染症なども不安で、渡航前は何度も外務省のホームページを閲覧していました。また、高校時に非英語圏に留学した際に、英語もその国の言語も話せない中で、休日などは1人で出かける勇気はなく、寮に引きこもりがちになっていた経験があったので、今回はどんな感じになるのだろうという印象でした。研修先では、様々な経験ができましたが、大きく成長した点が2点あります。
一つ目は、自分の意思をきちんと伝える力です。
今回のホームステイ先は、ホストファミリーとは仲良くなりましたが、毎日の朝ご飯がケーキやクッキーなどで、口に合わず、ホストマザーにこのことを相談しようと思っていました。他人の家に泊まっているので、直接申し出をしづらかったのですが、彼女も納得できるような理由で、「お腹の調子が良くないので朝ごはんに野菜と果物が欲しい」と自分の意思を伝え、申し出を聞いてくれました。しかし、1週間経った頃にまた朝ご飯がケーキやクッキーなどになってしまい、またホストマザーに申し出るのは難しいなと思っていた所、現地の大学のコーディネーターの先生に相談しようと思いました。最初は先生に相談するかどうか躊躇っていましたが、先生に相談しないと心残りがしたので、思い切って相談した所、話を親身に聞いて下さり、ホストマザーと相談してくださいました。その結果、朝ご飯は野菜や果物、お粥も加わり、勇気を出して相談してよかったなと思いました。この経験から、自分の伝えたことは時に人を動かすこともあるから、勇気を持って自分の意思を伝えれば何かと上手くいくことを学びました。
二つ目は、自分の力を過小評価せず、自分の眠っている力を信じる力です。
非英語圏であり英語もあまり通じない中で、やはり最初の頃はロシア語やカザフ語を話せる友人と外食や観光など共に行動していました。このままではダメだと思い、1人で外食や観光をしようと思いました。授業で習った単語と英語を交えて使ったり、時には翻訳機に頼ったりしながら様々な人と意思疎通できたことはとてもいい経験になりました。現地の人々は皆フレンドリーで私が上手く意思疎通できなくて身振り手振りでなんとか伝えようとする姿勢を見せると、相手の方も私が何を伝えようとしているのか真剣に聞いてくれ、言語の壁を超えた気がしました。言語が通じなくても何とかなることを改めて実感しました。最初は何でもそうですが、初めてのことを行う前は誰しも、「自分にできるのか」とか「他の人は自分よりもできてすごいな、自分には到底できない」とか考えがちだと思いますが、細かく色々考え込まず、とりあえずそのことに身体ごとぶつかってみれば、案外上手くいくものだということがわかりました。そこからは自分の眠っている力をどんどん引き出すことができることも知り、自分の力を決して過小評価せず最後は必ず自分の望んだ方向に向いていくことを感じました。このように、自分自身を信じなければ、自分の思っている方向に進まないという大事なことを思い出しました。
研修先(国)についての考察
カザフスタンは中国、ロシア、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンに囲まれた内陸国であり、様々な民族で成り立っています。ソ連時代の影響でロシア語も公用語であり、現在、ロシアとウクライナ戦争の影響でロシアから避難してきたロシア人もよく街中で見かけます。また、国立カザフ大学にはカザフ人の学生や留学生だけでなく、トルクメニスタンからの学生も多く、カザフスタンは中央アジアの中でも経済的にも教育的にも中心の国であることが分かります。このように、カザフスタンは様々な国を結ぶ中心地の役割を果たしています。
研修の成果
今回の海外研修に参加したことはいい息抜きになりました。何でも少しでも興味を持って参加すれば、自分の想像した以上に得られるものは多いなと感じます。今回の研修目的は語学研修でしたが、語学習得だけでなく、今まで知らなかったカザフスタンの文化、歴史などを実際に体験して学ぶことができたし、教科書で勉強したようなことを実際に見ることができて非常に良い経験ができたました。