生命環境学群 生物資源学類 4年

小竹 佳穂

きれいな街。

それがキルギスの首都ビシュケクに初めて降り立ったときの感想でした。ゴミの落ちていない整備された道,街のあちこちにある緑豊かな公園,そしてその奥に連なる雪化粧をした山脈を望みながら,いい街だと感じたことを鮮明に覚えています。

ビシュケク市内の様子
投棄されたゴミ  
(出典:https://zoinet.org/wp-content/uploads/2018/02/CA-waste-eng.pdf )

そんな美しい街並みがある一方,キルギスは深刻なごみ問題を抱えています。キルギスにはごみ処理施設がありません。排出されたごみは何の区分もなく埋立地に運ばれます。ごみの山と化した埋立地はその許容量を超えて拡大を続けています。また埋立地ではなく,別の空き地に投棄する,暖をとるために各家庭で燃やす,といったことも未だに広く行われているようです。

さらにビシュケクでは,冬になると空気が白く濁るほどのスモッグが発生するといいます。これは暖房利用時の排気によるものです。個人での暖房利用に加え,キルギスでは地域熱供給(district heating)が大規模に行われています。施設内で発した熱を,パイプラインを通じて街に送り各建物に供給するシステムです。この発熱の際に出る排気が,大気汚染の一因となっています。また現在の施設とシステムではエネルギーの損失が大きく,発熱したほとんどが街に供給される前に失われてしまいます。多くの大気汚染物質を排出しているにも関わらず,暖房として利用できるのはキルギス国内の家庭の2割にも満たないのが現状です。

キルギスがこのような環境問題を抱えていることを知ったのは,研修を終えて日本に帰国する前日の夜でした。現地の学生からプラスチック削減の動きが広まりつつあると聞き,環境意識の高さを感じていた矢先のことです。大きな衝撃を受けたことを覚えています。特にごみに関しては,動物の遺体や医療廃棄物,化学薬品等も区別なく投棄されており,かつての日本のように,人体や家畜,野生動植物の健康を脅かしかねません。深刻な公害に苦しみ,克服した国として,同じ轍を踏むことのないよう力を貸していくべきではないでしょうか。

参考文献:

Energy Sector Management Assistance Program (ESMAP). 2018. website. https://www.esmap.org/node/153677

Natasha M. Sim, David C Wilson, Costas Velis, Stephen R. Smith(2013) Waste management and recycling in the former Soviet Union: The City of Bishkek, Kyrgyz Republic (Kyrgyzstan). Waste Management Research, 31(10 suppl): pp.106-125

United Nations Environment Programme, 2017. CENTRAL ASIA Waste Management OUTLOOK. https://zoinet.org/wp-content/uploads/2018/02/CA-waste-eng.pdf