題目:ロシア語圏諸国の言語と社会-ベラルーシを中心として-
講師:清沢紫織氏(JSPS特別研究員PD北海道大学)
開催日:2019年9月13日(金)
場所:中央図書館中央集会室

2019年9月13日(金)、連続講演会「中央ユーラシアと日本の未来」の一環として、北海道大学スラヴ・ユーラシア研究センターJSPS特別研究員(PD)の清沢紫織氏を筑波大学にお招きし、「ロシア語圏諸国の言語と社会:ベラルーシを中心として」と題したご講演をいただきました。主に東スラヴ諸国ベラルーシにおける言語政策を専門とされる清沢氏のお話は、ベラルーシでのベラルーシ語とロシア語という近親言語の併用・混交をテーマとしたもので、ベラルーシ人が「母語」と認識する言語と実際に使用する言語の間に乖離が見られるという複雑な事情が紹介されました。また、たとえば村上春樹のロシア語訳中で、ロシア人の訳者が関西弁の訳文にベラルーシ語とロシア語の混成語をあてがったことに対し、ベラルーシ人から批判の声が上がったという興味深い実例は、互いに非常に似通った構造を持ちながら「標準語」と「方言」という関係には解消され得ない二言語が作り出す緊張関係を日本人にも分かりやすく教えてくれるもので、20数名の聴講者たちも興味深く聞き入っている様子でした。