シマノヴァ・ナルギザ

 

 7月、私たちは日本の北部にある北海道に行き、ニセコ町と札幌市を訪れました。この旅では、自分の仕事を愛し、ベストを尽くそうという熱い思いを持った素敵な人たちにたくさん出会えたので、これまでで最も興味深く、刺激的な旅になりました。旅行中、私はメモを取ったり写真を撮ったりして、後で重要な部分を思い出せるようにしていました。日本の北部を探索することで新しいことを吸収しようと、誰もが興奮し、楽しい雰囲気に包まれていました。そして特筆すべきは、日本の南部と北部では、人、スタイル、行動、都市の構造、食べ物など、実にさまざまな点が異なるということです。
 講演をしてくださった方々はみな目を輝かせながらご自身の仕事について話してくださいました。その中の一人が二川原さんでした。私たちがハンバーガーショップに立ち寄った際、講演をしていただきました。ニセコでの体験談を聞いていると、自分の仕事と住んでいるところが大好きな人なんだなというのが伝わってきました。彼は実業家であり、ニセコでホテルとレストランを経営しています。彼は、ホテルで掃除をしている時に競歩のチャンピオンの金メダルを見つけたときのことなど、興味深い話を聞かせてくれました。
私が衝撃を受けたのは、彼が一人でホテルを経営し、従業員は彼一人であるという事実です。このようなビジネスのリーダーとしての例は聞いたことがありませんでした。夏だというのに、すでに全室が予約で埋まっているそうです。スポーツが好きな人、スキーが好きな人は、夏から冬支度を始めます。雪が大好きな二川原さんにとって、ニセコの冬は天国そのものだといいます。道路に積もった雪を掃除するのもお好きなのだそうです。

 レクチャーのあと、ニセコについて、観光について、スキー場について、ニセコ町の問題点など、私たちは様々な質問をしました。その中で、私がした質問は次のようなものでした。 「大都会が恋しくなることはありますか?」この質問をしたのは、ニセコ町が大都市と比べれば、東京や札幌のようなビルがあまりない、とても穏やかで小さな町のように思えたからです。ニセコのホテルに泊まった時も、そのような落ち着きを感じました。夕方には映画に出てくるような、誰もいない街並みが広がっていました。彼の答えは、ニセコが好きだから大都会が恋しくなることはない、生活に必要なものは全て揃っているし、この雰囲気も好きだし、ここにいたいというものでした。ただ一点、洋服のことを話してくれました。背の高い彼は、ニセコで自分のサイズの服を見つけるのは難しいので、札幌によく買い物に行くそうです。
彼の話を聞いているときは、天気も良く、少し風が冷たかったのですが、私たちは座って彼の話を聞き、新しい知見を得ることができました。本当に素敵な時間でした。そのあとは、おいしいハンバーガーを食べながら、おしゃべりをしました。また、彼はニセコの山々の絵を私たちに見せてくれました。もうひとつ気づいたのは、彼の話し方、表情がとても謙虚だったことです。普通のビジネスマンや、白シャツにスーツを着た男性とは全く異なっています。彼は鳥のように自由で、自分の仕事を楽しみ、自分の住む場所を楽しみ、雪を愛する、人生を幸せに感じている方なのだと感じました。


 彼のスピーチや他のニセコの人々のお話を聞いて、この世には新しいアイデアやチャンス、様々なライフスタイルがあるのだと気づきました。例えば、一人でビジネスをすることができるなんて、つまり、一人でホテル全体の責任を負うことができるなんて、私は全く知りませんでした。例えば、私たちが泊まった2番目のホテル(ホテルチャトリウム)のディレクターも新しい働き方を実践しています。彼はスイス出身で、そのホテルのオーナーなのですが、自分のホテルには一度も足を運ばず、自分のホテルがどうなっているのか確認したこともないそうです。しかし、彼のホテルは完璧な状態でした。支配人の方とzoom meetingをして、あれだけ素晴らしいホテルを運営していることに私は衝撃を受けました。この旅で経験したことは、私の視野を大きく広げ、新しいアイデアをたくさん与えてくれました。


 ニセコは、日本の最北端である北海道の南に位置しています。新千歳空港や道庁所在地である札幌から車で2時間ほどのところにある、ごく普通の地方都市です。しかし、私としては、ニセコ町は普通の町ではなく、面白くて素敵な人たちがたくさんいる、非日常的な町だと思います。