マヴロノヴァ・マフトナホン

 

 

サンゴ礁は、地球上で最も多様な生態系のひとつです。沖縄は、海岸からわずか数メートルのところにサンゴ礁がある恵まれた環境です。サンゴは、植物や岩と間違われることもありますが、実は生きた構造物であり、無数の植物や動物がそこで生息しています。

サンゴ礁を形成するサンゴは、地球上で最も生物学的に多様な生態系の基盤となっています。サンゴは単細胞の藻類と共生することで、太陽エネルギーを利用し、栄養が乏しい地域でも高い生産性を発揮することができます。サンゴ礁は、大きさや複雑さの点において非常に印象的ですが、一方で、海洋条件や人為的影響を非常に受けやすくもあります。海洋環境に関する膨大な情報を活用することで、どのサンゴ礁が最も危険で、どの地域が新しいサンゴの幼生の供給源として重要な役割を果たすため、生存に最も重要であるかを特定することが可能です。

沖縄や琉球列島の南西諸島の多くは、サンゴ礁に囲まれた環礁地帯です。日本の他のサンゴ礁は、サンゴが生息できる海水温として北限に位置するため、この辺りの縁側サンゴ礁は日本全国で最も多様性に富んでいます。

琉球のサンゴの多くは熱帯地方に生息するものと似ており、約200万年前に琉球でサンゴ礁が形成された際に、熱帯地方から琉球に入植した可能性が高いと考えられます。このように、サンゴがどのように拡散し、定着していくのかを地域的なスケールで研究することは、サンゴの将来的な保全につながるのです。

地球規模では、海水温の上昇と酸性化によって、サンゴ礁の白化現象が頻発し、絶滅の危機に瀕しています。琉球列島の南側のサンゴ礁は、白化現象に見舞われ、ある島ではサンゴの90%もが失われてしまったこともあります。幸い、沖縄本島のサンゴ礁はそれほど深刻な被害を受けませんでしたが、依然として大きなリスクを抱えています。

水中観測所とリーフスケールの海洋実験を組み合わせることで、地域のサンゴがどのような状況に置かれているのか、重要な知見が得られます。この知識と、専用のマリンステーションで統制された実験を組み合わせることで、ポリプやコロニーの個体からサンゴ礁全体までのスケールで、海洋条件がサンゴに及ぼす影響を調べることができます。

沖縄のサンゴ礁は、伝統的に地域社会に多種多様な魚を食料として提供し、台風時には荒波から身を守る自然保護機能を備えてきました。現在、サンゴ礁は観光産業の大部分を支えており、多くのダイバーやシュノーケラーが海の美しさと海の生き物を一目見ようと訪れています。また、沖縄の研究所では、サンゴ礁が新しい抗生物質などの医薬品の開発に重要な役割を果たす可能性があるとの研究結果も発表されています。

サンゴ礁は、世界の海の0.2%未満しか存在しません。サンゴが生きていくためには、暖かく、浅く、澄んだ水、晴天、穏やかな海流、望ましいレベルの栄養分など、非常に特殊な条件が必要です。これらの条件が揃わないとサンゴは成長せず、環境が理想とする条件から外れると、既存のサンゴは死滅してしまいます。

サンゴ礁は、ハードコーラルを食べてしまうオニヒトデや、過剰な栄養分による藻類の発生、農業や開発事業による赤土の流出によって、サンゴ礁がゴミに覆われるなどの被害を受けやすいのです。地球温暖化により水温が上昇し、世界のサンゴ礁の大部分でサンゴの白化が起こっています。水温の上昇により、サンゴの組織内の藻類が失われ、サンゴは主要なエネルギー源を失い、徐々に死んでいきます。その過程で、サンゴの白い炭酸カルシウムの骨格は残ります。これでは、サンゴ礁の生態系の健全な基盤が保てないため、動植物の生物多様性にも影響を及ぼします。

地球温暖化など人間による脅威に加え、漁業、ダイバーによる影響、サンゴの採取などによって、サンゴ礁は物理的にダメージを受けることがあります。街から川へ、そして海へと漂流する海洋ゴミが問題になっています。サンゴ礁の生存は脅かされており、多くの人々や団体が、沖縄の特徴である多様性に富んだ生態系を守ろうとしています。

今回の発表では、私たちが考えるべき多くの興味深い点が明らかになりました。私たちの祖国は内陸国ですが、沖縄の海洋生物をどのように保護しているかを見ることができ、有意義な時間を過ごすことができたと考えます。