2024年2月13日(火)、第48回「中央ユーラシアと日本の未来」公開講演会を開催し、カリフォルニア大学サンディエゴ校教授の當作靖彦氏を講師にお招きして、「生成系AIと大学教育の未来 -自身の知的成長を止めないために-」と題する講演をしていただきました。當作先生には毎年、「新入生に贈る講演会」の講師として主に新入生に向けてお話していただいていますが、今回は公開講演会の講師として、対面とオンライン双方で参加可能なハイブリッド方式での登壇となりました。

當作先生は毎回、近年、目覚ましい進化を遂げ、様々なサービスで活用されているAIをいち早くご自身で試され、その最新の動向が大学教育の現場に与える影響についてご紹介してくださっています。2022年11月に公開されたChatGPTは、2か月で10億人が使用するまでになり、当初はテキスト入力のみだったツールが、現在では、音声、写真、絵での出入力が可能となっています。こうしたAIの進化を前にして、人間の仕事が奪われるのではないか、といった意見が多く聞かれるようになりました。

そこで當作先生は、AIにはないクリエイティヴィティを備えた人間となるよう、促します。日本でも最近、ChatGPTを執筆に活用した作家が芥川賞を受賞したことが話題となりました。當作先生は、このようにAIをあくまでツールのひとつとして使いこなし、デジタル・リテラシーを備えた人間であることが、AIと共存する世界を生きていく秘訣だと説きます。大学教育においては、そうした人間としての強みを活かして人材を育てることが大事なのだと、学生だけでなく教職員にも向けられたメッセージで結ばれました。

講演会の最後には、会場とオンラインの双方からたくさんの質問・コメントが寄せられ、いつもオンラインで参加している聴講者が会場に来て、感謝の言葉を述べている場面もありました。今後もNipCAプロジェクトでは、対面・オンラインの双方の利点を活かしつつ、講演会を開催してまいります。