アクラモヴァ・ローラ
北海道・倶知安町に位置するHANAZONOニセコリゾートは、日本有数のマウンテンリゾート地のひとつです。広大なニセコユナイテッド・スキーエリアの一部として、HANAZONOはその豊富でパウダースノーな雪質、近代的なスキーインフラ、そして一年を通じて楽しめるアウトドアアクティビティで世界的に知られています。しかし、商業的かつレクリエーション的な魅力を超えて、HANAZONOは「観光を基盤とする企業が、いかにして国連の持続可能な開発目標(SDGs)に取り組み、環境への責任や地域開発の課題と向き合うか」という点において、示唆に富むケーススタディとなっています。
HANAZONOには、冬季のスポーツはもちろん、近年増加している夏のアクティビティを目当てに、国内外から毎年数千人の観光客が訪れます。近年の主な投資として、ピニンファリーナが設計した10人乗りゴンドラや、暖房機能付き6人乗りリフトなどがあり、これらは来訪者の体験を向上させると同時に、リゾートのイノベーションへの取り組みを際立たせています。また、「パークハイアット・ニセコHANAZONO」や「ニッコースタイルHANAZONO」など高級宿泊施設の登場は、リゾートが通年型・高級志向の観光地へとシフトしていることを反映しています。
高級リゾート地でありながら、HANAZONOニセコリゾートは複数のSDGs(持続可能な開発目標)に整合させるための意義深い取り組みを行っています。これらの取り組みは単なる理論にとどまらず、リゾートの運営方針やインフラの選択、地域との関わりの中に明確に表れています。リゾートは、ホスピタリティ業務、施設の維持管理、アウトドアガイド、小売業などを通じて雇用を生み出しており、これはSDG 8「働きがいも経済成長も」の実践に貢献しています。また、夏季アクティビティへの事業多様化によって、観光業に特有の季節的な雇用の不安定さを緩和し、倶知安町における長期的な経済の安定にも貢献しています。このリゾートには、環境に配慮したジム機器や、売店・飲食施設における地元産品の活用など、サステナビリティ(持続可能性)に焦点を当てた特徴が取り入れられています。これらの小さくも意図的な選択は、観光産業が自然資源に与える影響に対する意識の高まりを反映しています。HANAZONOは、エネルギー効率や環境管理の面で高い評価を受けており、スキーリゾートのサステナビリティ指標でも高スコアを獲得しています。
しかしながら、雪に依存する観光地であるため、気候変動の影響を受けやすいという脆弱性を抱えており、エコツーリズムの推進や炭素排出削減への取り組みが、今後さらに重要性を増しています。また、倶知安町や地元の関係者と緊密に連携しており、G20観光大臣会合といった注目度の高い国際会議にも参加しています。こうした協働の姿勢は、持続可能な観光や地球規模の責任に関する、より大きな議論の一翼を担おうとする意欲を示しています。
HANAZONOの取り組みは称賛に値しますが、いくつかの重要な問いも浮かび上がってきます。ラグジュアリーな観光と持続可能性は本当に共存できるのか、それとも根本的に相反するものなのか? 高級宿泊施設やエネルギーを大量に消費するリフトシステムは、どうしてもリゾートの環境負荷を高めてしまいます。そのためHANAZONOは、単なる技術革新にとどまらず、廃棄物の最小化や排出量の相殺、来訪者へのサステナビリティ教育などの面でも、革新を続ける必要があります。
そして最後に、気候変動の加速に伴い、HANAZONOのようなスキーリゾートは、自らの事業継続に対する根本的な脅威と向き合わなければなりません。雪のない季節に向けたアクティビティの多様化はその一歩ですが、長期的なレジリエンス(回復力)には、気候変動に関する研究への貢献、カーボンニュートラルの推進、地域全体での適応戦略への関与も求められるでしょう。