2023年6月27日(火)、第2回「トルクメニスタンとのCOIL型大学教育推進プロジェクト」の一環として、アザディ世界言語大学東洋文学部日本語講座で講師を務めたこともある筑波大学人文社会系奥真裕特任研究員による特別講義が行われました。「日本語とトルクメン語の対照」というテーマについて終始和やかな雰囲気で講義が行われました。講義には、アザディ世界言語大学東洋言語学部日本語講座の教員と1~3年生がZoomを通して、参加しました。

本講義では、日本語とトルクメン語の系統関係、発音(「ン」とn,ň、「ウ」とu, y)、対格接尾辞、使役形が取り上げられ、質問を交えたインタラクティブな授業が行われました。日本語とトルクメン語の類似点や相似点について考える機会となりました。

本講義の導入としては、日本語とトルクメン語の系統について、かつてはアルタイ語族仮説が唱えられ、対応しているように見える子音が存在すること、それぞれの言語にはrから始まる語がないこと、日本語に母音調和があったという説があることなど、日本語とトルクメン語の系統論が同じコンテクストで議論されてきた歴史があることについて紹介されました。

発音の部分では、トルクメン人日本語学習者が特に気を付けるべき発音「ン」や「ウ」について、トルクメン語の発音と対照しながら習得・指導する方法について講義されました。また、両言語では、対格接尾辞が用いられないという一見すると同じ現象が起こっているものの、日本語においては話し言葉において省略が起こっており、トルクメン語においては目的語が不定の場合に用いないというそれぞれ異なったルールのもと起こった現象であるということが確認されました。使役形においても、トルクメン語では用いることができる場面においても日本語では用いることができない場面が多く存在することから、両言語の特徴について考える足掛かりとなることが述べられました。

講義の最後には、聴講者から、「発音の細かい指導を導入の一年生段階ですべきか」、「方言を共通語と同時並行で学ぶべきか」などといった質問が寄せられ、活発な質疑応答の時間になりました。筑波大学の授業を提供する「トルクメニスタンとのCOIL型大学教育推進プロジェクト」は今後も継続し、今年度、計5回の講義を予定しています。