石垣島みんさー工房みね屋を訪ねて

沖縄・石垣島への旅行は、初日から喜びと冒険に満ちた素晴らしいものでした。その中でも思い出深い場所は、八重山の伝統手織物の歴史を展示している通称『みんさー工房』です。

この日は大雨だったため、当初の予定を変更し、石垣市からほど近い織物博物館を見学することになりました。とても親切な婦人が迎えてくれ、丁寧に工房の案内をしてくれました。

まず、インフォメーションデスクにはさまざまな装飾品が飾られており、現地の人々の服装によく使われているという、96種類の図形の事を教えてくれました。【図1−1】例えば、表の最初に示している2つの縦長の線は、富を象徴する飼い葉桶(家畜の餌箱)を表しています。言い換えると、家畜の世話が十分にできるということは、暮らしが豊かということを意味します。またその他にも、男性にとっては力強さやパワーを、女性にとっては幸せや健康を表す意味もあるようです。工房の職員によれば、最も難しい装飾は水のシンボルだといいます。富を表す図形は、石垣と中央アジア文化は同じようですが、水に関するシンボルに関しては、残念ながら意味が異なるようで、カザフスタン人にとって水は純粋さや静けさとして認識される一方、石垣市民にとって水のシンボルは災いや危険を意味するとのことです。

【図1−2】の写真は、5+4装飾の説明と、このミンサー模様のベルトにまつわる物語を説明しているパネルです。この模様は、女性が恋人へむけた恋心を表している柄のようです。この説明によると、ミンサー模様は男性に「できるだけ長生きしてほしい」「できるだけたくさん会いに来てほしい(足繁くおいでください)」という願いを込めて女性達が作るもので、同時に結婚承諾の象徴になるともいいます。

【図1】博物館内のテキスタイル・ワークに関するインフォメーション・デスク

【図1-1】

【図1−2】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミンサー帯のもう一つのタイプは花織みんさというもので、【図2】のような5角と4角の特殊な構成をしています。5と4のパターンには、ロマンチックで象徴的な意味もあり、

【いつつ(五)+よつ(四)=いつ(五)の世(四)(永遠の愛)】

という、言葉遊びのような意味も含まれており、パートナーと永遠に一緒にいたいと願いを込めて作られています。さらに、5と4の足し算は9であり、この数は1の桁の中で最大の数であることから、人々は幸福を倍増させたいという意味も込めていたようです。また、花織にはトカゲの足のような装飾がタオルの長辺2カ所に施され、装飾的な意味合いの他に、主人がこの帯を持ってまた同じ道を通って戻ってくるようにという女性の願いも表しているようです。

【図2】ミンサー帯

 

 

 

 

 

 

 

 

また、工芸品のタオルやベルトは基本的に綿ではなく、沖縄の織物の原料はチョマ (苧麻) と呼ばれる熱帯植物から作られており、石垣島では、今でも伝統的な手工芸品として生産されています。

【図3】ミュージアムアイテム

 

 

 

 

 

 

【図3-1】織物の原料チョマ (苧麻)

 

工房見学の最後には、みんなで石垣島の伝統的な衣装を試着しました。この衣装は、特に重要な場で着用するための衣装で、チョマ素材で作られており、男女の霊を表す[翁 ]と[媼 ]の像の前で写真を撮りました。

私達は、ミンサー模様や装飾品、5と4のマークにまつわる話を聞き、街角や土産物などに描かれている伝統的模様の意味を理解することができました。地元の人々が自分たちの伝統に感謝し、それを観光やマーケティングに活かしているのを実際に見ることができ、とても有意義な工房見学ができました。

【図4】地元の織物で作られた石垣島の伝統的な衣装を着こなすフェローたち

 

竹富島サイクリング

八重山諸島でもうひとつ思い出深かった場所は、フェリーで訪れた竹富島です 

私達は自転車で島を周りました。まず竹富島の集落入口にある巨木、『スンマシャーを訪れ、その後竹富島らしい外観が特徴の郵便局へと自転車を走らせました。そこで私たちは一旦停止し、この島でどこを訪問すべきかを話し合いました。皆とても熱心で、自転車でのさらなる冒険に胸を躍らせていたました。 

郵便局からほど近いところに、島で最も高い『なごみの塔』に行きました。【図5】そこから絵のように美しい島の景色を堪能した後、『西桟橋』、『コンドイ浜』、『カイジ浜』などの海岸を訪れました。 

【図5】

 

 

 

 

 

 

ビーチから眺める海岸沖の眺めは素晴らしく、そこで集合写真を撮ったり、海岸線を歩いて沖縄の海を楽しみました。ただ、あいにくの天候で竹富島の観光の一つである、水牛車ツアーに参加できなかったのは残念でした。しかし、仲間とのサイクリングは、私にとって特別な思い出となりました。 

 最後になりましたが、旅行を企画してくださり、安全で素晴らしい旅、特に竹富島でのサイクリングを体験させてくれた先生方に心から感謝いたします。また、良い旅になるよう気を配っていただき、素晴らしい写真を沢山撮ってくれたスタッフの方々にもお礼申し上げます。沖縄研修は私に温かい思い出と、幅広い文化や知識を与えてくれ、また島でのSDG活動と伝統文化がどのように共存できるかを認識させてくれる、素晴らしい旅行でした。