沖縄県八重山諸島への研修旅行では、特に石垣島と竹富島に焦点を当て、持続可能な開発目標(SDGs)に取り組んでいる数々の現場を訪問しました。現地の人々との交流や体験を通じて、私達はSDGs達成に向けた地域の多様な取り組みを視察することができました。 

 研修旅行の2日目、私達は1970年に設立された『川平マエタケ農園(通称パイナップル・ファーム)』を訪問しました。石垣島は土壌が赤土なことから、おいしいパイナップルが育つと言われています。揺れるヤシの木と鮮やかな植物、熟したパイナップルとマンゴーの甘い香りに迎えられ、我々は農園の敷地に入りました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

パイナップル・ファームではまず農園や果実についてのレクチャーを受けその後温室や農園を見学しました。緑豊かな温室と広大な農園に足を踏み入れると、ジューシーな甘さを約束するであろうパイナップルの木々がずらりと並んでいて、私達はその光景に魅了されました。その嬉しいことに、マンゴーとパイナップルのスムージーをいただくことができました 

 

 

 

 

 

 

 

 

石垣島のパイナップルの歴史は、島の豊かな歴史とも深く関わっているようです。台湾からの移住者によって石垣島に持ち込まれたパイナップルは、島の豊かな土壌と豊富な日照りに恵まれた肥沃な環境を見出しました。川平マエタケ農園でも、この豊かな環境を活かして、8種類のパイナップルを栽培しており、それぞれユニークな魅力と風味の特徴があります。 

 

ここで、農園が栽培している8種類のパイナップルを紹介します。 

 まずは、豊富な果汁と宝石のような果肉で知られる『ジュワリーパイン』です。通常6月から7月にかけて収穫され、夏の間のご馳走になります。その名は、熱帯の暑さの中で水分補給するのに最適な、パインの豊富な果汁に由来しているとのことです。 

次は、夏の桃を思わせる芳香を持つという『ピーチパイン』です。通常4月から7月にかけて収穫され、柔らかく白っぽい果肉が特徴で、3年近くかけて丁寧に育てられます。通常のパインよりも小ぶりですが、凝縮された香りと甘みがあり、果肉は柔らかく、芯まで食べることができます。 

 『ポコットパイン』という品種は、4月から6月にかけて収穫され、簡単に裂ける(ポコッとちぎって食べる事ができる)ことから、その名を付けたといいます。酸味が少なく香りが強いので、甘いパイナップルを好む人が好むであろう品種です。 

『ジュリオスターパイン』いう品種はとても希少で、甘みと酸味の完璧なバランスを実現するために20年の歳月をかけて開発されました。その卓越した味は、糖度が高く生産量が限られているため、人気の品となっています。この品種は、定番パインとして人気の品種「ハワイ産パイン」と、食味に定評のある品種「クリームパイン」を掛け合わせてできた品種です。 

 酸味が少なく独特の味わいと噛み応えのある甘さで定評なのは、『パールパイン』です。 

また、抜群の甘さをもつ『サンドルチェ』 は、沖縄県が15年かけて “ゆがふ “と “サマーゴールド “を交配して育種した、糖度が高く、病気や台風にも強い 「沖農P17」というパイナップルの商標があります。この品種は、夏だけでなく秋にも収穫されるので、他の品種よりも甘みに優れています。 

 ジューシーな甘さとソフトな食感で王様の名にふさわしいパイナップルが『ゴールドバレル』です。重さ1.4kg2.8kg、果肉は黄金色で、果実は樽型をしています。糖度が高く、爽やかで上品な甘さが特徴で、パイン特有の酸味やキツさがないのが特徴です。芯まで食べられるほど柔らかく、口に入れると果汁が溢れ出します。 

 最後は、202112月に登録されたパイナップル『ホワイトココ』です。ココナッツのような甘い香りが特徴で、実は柔らかくて大きく、糖度は16%もあります。 

 

 

 

 

 

 

 


パイナップルは収穫したら糖度が上がらないという特徴があるため、樹上で追熟させ、甘みがピークに達する時期に収穫します。通常、収穫には
2年かかり、7月末には8種類すべてのパイナップルが収穫できます。また、パイナップルは熟すととげが生え、高品質に熟したパイナップルかどうかは、その特別な音で見分けることができるといいます。音が違う場合は、パイナップルにまだ水分が多く、完熟していないことを意味します。 

 また、パイナップルのサイズは前述のように種類によって異なり、重さは一番小さいもので800グラム、大きいもので25キログラムあります。ちなみに、パイナップルは島では高価なプルーツとされ、値段は通常3,000円から7,000円程度です。しかし、これらのパイナップルを真に際立たせているのは、多様な品種だけでなく栽培方法に細心の注意が払われていることです。川平マエタケ農園では、化学肥料よりも手作業による栽培方法を実施しており、一株一株の丁寧な管理に誇りを持っています。その結果、皿に盛られるパイナップルひとつひとつが、この地の農家が一株一株の手入れに心血を注いできた、彼らの技術と努力の結晶となります。 

 私たちはこれらのパイナップルを直接口味わうことはありませんでしたが、農園の方たちのレクチャーから、石垣のパイナップル・パラダイスの魅力を鮮やかに脳裏に描くことができました。さらに、川平マエタケ農園はパイナップルだけではなく、トロピカルフルーツも豊富に取り揃えており、シークヮーサーの酸味からマンゴーの深い甘みまで、川平マエタケ農園では様々な味覚に誘惑される楽しみがあるこに、感銘をうけました。 

 帰る際には、私たちの心は満たされ、南国の暖かい日差し、ジューシーなスムージーの余韻、天然フルーツの甘さでお腹は満たされていました。パイナップルのひとつひとつが物語を語り、マンゴーのひとつひとつが楽園を見つけたとささやくのが感じられました。