沖縄県石垣市への研修旅行は、八重山諸島の文化遺産と自然の美しさに浸る事ができた、忘れられないものとなりました。
今回の旅で私が最も興味深かったのは、日本に20年以上滞在しているオランダ人駐在員、ファンライン・エリック氏のレクチャーで、外国人の視点から見た八重山地方の魅力について、ユニークな見解を聞かせてくれました。
エリック氏は2016年に石垣島に移住、自身で『Nohoho』を設立し、宿『ViLLA Nohoho』を運営しています。彼の宿は、隠れ家のような存在で、石垣の大自然と沖縄のすばらしさをグローバルな視点で融合しているアットホームなゲストハウスです。石垣島の北部に位置しており、石垣島で最もきれいなビーチとして知られる『サンセットビーチ』や、星空保護区に認定されている石垣島の夜空までのアクセスが抜群なこともあり、SDG’sに寄り添ったホスピタリティをゲストに提供しています。1日1組限定のこの宿は、日常の忙しさから解放され、沖縄の静けさに浸りながら、親密な時間を過ごすことができます。
エリック氏のレクチャーは、八重山諸島の自然と沖縄の伝統との深いつながりに焦点を当てたものでした。独自の個性を誇る10の島々からなるこの群島は、多様な生物の聖域です。また、数世紀にわたり他の文化から隔離されていたことにより、先住民の知恵がとても重要になっています。「シマムニ 」(島ムニ)や「ドゥナンムヌイ」(与那国語)のような方言は、島の精神を体現し、祭りや音楽の表現を通して伝承されており、ユネスコ から八重山の豊かな歴史の重要な記録として、固有の言語としての分類もされました。
島の民と自然との調和を強調するものも多々あります。例えば、沖縄の人々から親しまれ、一年中あちこちに咲いている沖縄を象徴する花・ハイビスカスです。花は美的な楽しみだけでなく、郷土料理、伝統医療、民間療法など、食材としても多目的に役立っています。また、伝統的織物にしても、太陰暦に密に関係しており、何世代にもわたり受け継がれてきた古代の儀式や祭りを現した模様が織り込まれています。どれをとっても、八重山の伝統は時間を超えた神秘的な世界を垣間見せてくれます。
サンゴ礁による石灰岩の壁やフクギの木が生い茂る村々、沖縄の守り神・シーサーや八重山語のメロディーに至るまで、日常生活のあらゆる場面で、沖縄のアイデンティティが滲み出ていました。
日常生活の中には、今もなお、薬草の使い方や料理法など、先祖代々受け継がれてきた知恵や伝統が息づいています。よもぎ蒸しやウコンなど、これらの “命の草 “は、自然と深く結びついたホリスティック(自然治癒力を原点におく治療法)なアプローチを反映しています。
最後に、石垣市と八重山諸島を巡る旅は、勉学の域を超えた、時間・文化・遺産を深く探求するものとなりました。私は沖縄のもてなしの精神と伝統に対する感謝の念を抱きながら、この魅力あふれる地を後にしました。